税務調査(個人課税専門です)

税務調査関連の記事を配信します。内容は、個人(事業者)の方であることを、あらかじめご了承ください。

 税務職員が税務調査をするうえで、もっとも頼りになるのは「資料情報」です。あらゆる場面で収集した「金融機関口座」や「取引先との決済内容」を把握したものが主なものです。調査官が調査先に臨場する場合、大なり小なり必ず資料があります(ただし現場には持ち出ししません)。納税者に対し「取引銀行はどこですか?」「他にはありますか?」「取引先はどこですか?」などと、繰り返し質問します。その際、納税者が取引金融機関を答えても、首をかしげて、「他にはありませんか?」としつこく聞いてくる場合があります。この場合は、把握済み金融機関が出てこないので、しつこく聞いてくるわけです。調査官から、把握済みの金融機関や取引先名を言うことはありません。守秘義務もありますが、調査対象が限定されてしまうからです。

 そんな中で、厳格に管理し重要視されているのが、意外ですが、「タレコミや投書」などです。ただ、その大部分はネタミや嫉妬によるもので、信ぴょう性や具体性がなく、役に立ちません。具体性が無いと、国税局や税務署としても調査に活用できません。ところが、元社員や元愛人などからの情報は有効性が圧倒的に高いといえます。内部からの重要情報を握っているからです。内容によっては国税局の査察部に回される場合もあります。

 なお、話は変わりますが、国税庁のホームページの意見は、担当者が神経をとがらせ、毎日必ずチェックしています。例えば、確定申告時の税務職員の対応についての苦情を書き込むと、翌日には国税局を通じて、税務署に「事実関係」の報告を求めてきます。その反応の早さと対応は見事です。恐らく、その敏感さは官公庁のなかでも国税庁がナンバーワンでしょう。回答してもらえることはありませんが、確実に検討しています。おおいに活用すべきです。

  よく、芸能人や有名人の税金の申告漏れ情報がマスコミに流れている。確定申告前には、告発された脱税事案や一般的な申告漏れの動向・係数などを記者会見を実施し、公表している。これは、確定申告に際して、各個人が適正に申告するよう啓発・注意喚起しているものである。この場合、原則匿名である。
 ところが、時々、告発事案でもない芸能人などの著名人の「申告漏れ」情報がニュースで流れてくる。いわゆる「脱税」ではなく、「計算誤りを含む申告漏れ」レベルの話である。
 これは明らかにおかしい。国家公務員には厳格な「守秘義務」が課せられており、それだからこそ調査協力を得られるのである。たまたま著名人であったために、故意に脱税したわけでもないのに、マスコミ報道される。これによって、多大な損害を受けることになる。最近では、お笑いコンビの徳井氏(無申告)や前澤氏(絵画売却)の例がある。内容は単なる「申告もれ」であり、ありふれた内容でもある。(徳井氏の内容も本来重加算税ではないようだ。)
 調査担当者やその近辺から情報が漏れることは絶対にないといえる。もしそのような例があるとすると、国税庁は徹底的に調査して処分する(監察官という内部に絶対的権力を持った職員の非行調査部署がある)。懲戒免職、公務員法違反で即告発する。では、どこが情報を流しているのか。国税庁が堂々と流しているとしか考えられない。著名人だから、芸能人だから個人情報を漏らしていい、という法的根拠は、どこを探しても見つからなかった。在職時代からの謎であり、疑問であった。明らかに守秘義務違反であり、止めるべきである。

 個人事業者の場合、どのように調査選定されるのか、気になるところです。調査対象の選定は、いろいろな視点から検討されるのですが、確かに売上規模もその要素の一つです。毎年、年間売上金額が1千万円を切っていると、規模がそれほど大きくないので、調査には選ばれないという記事を目にします。確かに、規模が大きいほど調査に選定される確率は高くなります。
 ところが、毎年の年間売上が、900万円前後の場合、調査に選定される確率は急上昇します。なぜなら、消費税の課税逃れで1千万円以下に調整している個人事業者は少なくないからです。規模的にもそれほど大きくなく、調査も容易のため、多くは若手職員に割り振られます。ベテラン職員が来た場合は、「重加算税」狙いと言えるでしょう。
 【年間売上(年間課税売上)が1千万を超えると、消費税課税事業者となり、その2年後は消費税等を申告・納税しなければならない。超えなければ、免税事業者となり、消費税等の申告・納税は免除される。】

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